社会福祉法人共生福祉会 福島美術館

福島美術館のトップページ
福島美術館通信
展覧会のお知らせ
主な収蔵品
伊達な作品写真館
福島美術館の歴史
館内ガイド&交通ガイド
リンク&スペシャルサンクス
ゲストブック
Q&A
ミュージアムグッズ
広瀬川とミュージアム散策マップ
学芸員日記(ブログ)
お問い合わせ
プライバシーポリシー
サイトマップ

福島美術館通信/バックナンバー

次回前回一覧

平成18年8月18日

福島美術館通信 No.37
【陳列作品紹介】

■菊にこおろぎ扇面(せんめん)図

木村武山(ぶざん)筆 明治末〜大正初期
紙本著色 額装 31.4cm×58.2cm

タイトルの中にある「コオロギ」はいったい何処に?
しばし、作品をよーくご覧頂きたい。
いくら目を皿のようにして探しても、なかなかそれを見つけ出すことは難しいかもしれない。鈍い金色を放つ扇形の画面には、満開に咲く白菊が丸くすっきりとデザイン化され描かれている。その傍らの薄(ススキ)に注目してほしい。右下から斜め左上へすっと伸びる薄は一度画面からはみ出し、扇面左端にその薄の先が見える。この薄の葉の裏にコオロギをチラリと見出すことができる。コオロギの長い触覚と、くの字に曲がった6本の脚だけがのぞいている。扇形に切り取られた秋の景の中に、小さき命を慈しむ画家の眼差しがここに感じられる。

また菊の葉に視線を移すと、ところどころ虫喰いの痕(あと)がみられる。このコオロギが食べたものか、それとも他の虫が食べたものか、想像すると楽しい気持ちになる。その葉の微妙な色の表現は水分を含んだ面に違う濃度の色をたらして、滲(にじ)みや濃淡の変化をつける「たらし込み」という技法により描かれている。金の画面、デザイン化された花、たらし込みの技法など、このような花鳥(かちょう)画は琳(りん)派の作品にも共通する。

筆者の木村武山(1876〜1942/明治9〜昭和17)は茨城県笠間(かさま)出身の日本画家。明治23年に上京して、川端玉章(ぎょくしょう)に絵を学んだ。日本美術院に参加後は、優れた色彩感覚を持つ画家として活躍する。歴史画を多く描いたが、明治末から大正初期にかけては琳派の花鳥画を研究し、盛んに金地の画面に意匠的効果を狙った作品を残している。晩年は多くの仏画を描いたという。

武山の「菊にこおろぎ扇面図」に見られる薄や菊花の表現・小動物の描写は、まさに明治末から大正初期にかけての琳派研究の過程で生まれた作品であることを窺わせる。

また、武山の父親が笠間銀行頭取であったという裕福な家庭環境を考えると、武山にとって琳派の画風がなじみ易い身近な存在であったのかもしれない。
花鳥画は四季折々の情景を描きだすだけでなく、吉祥(きっしょう)を寓意するものでもある。菊は長寿、コオロギ(=蟋蟀)は出世・財福・多子を表すもので、表装の「福」「壽」の文字からもそれを知ることができよう。作品に一歩近づき、見る角度を変えて表装の文字にも目を留めてご覧いただきたい。

いろいろな見方ができると、作品の世界がどんどん広がっていく。
(文責・尾暮)

〜〜〜雑感。。広瀬川の風をもとめて 其の壱〜〜〜

福島美術館通信を読んで、大年寺の山並みを見たい、という来館者が何名かいらした。
心地よい風景と、広瀬川の風、今やそれは心の中の記憶となってしまった。グレーのシートに覆われた建設中の高層マンションが空を一面さえぎっている。
福島美術館から広瀬川は意外と近い。広瀬川宮沢緑地(河原町側)に出るならほんの3.4分程度、向こう岸の遊歩道へ出るなら超最短ルートで愛宕橋まで5、6分である。
というわけで、それならば、たくさんの人に、広瀬川の心地よい風を感じてほしいと願い、「福島美術館ぐるりおさんぽマップ(仮称)」の制作を計画している。
梅雨に入る前の6月のある心地よい土曜日、私は近所の探索に出かけた。本日のメニューは広瀬川両岸の遊歩道をぐるりと回ること。持ち物は、近隣の地図の拡大コピー、『広瀬川ハンドブック』(仙台都市総合研究機構・編集発行)、時計、そして筆記用具。
美術館の門を出て左手に進む。古いお屋敷町の風情と新興の町が混在している。歩き始めて2、3分後、ふっと左の方から川の音が聞こえたら、迷うことなく寄り道をしてみよう。ぽっかりと広瀬川の景色に出会える。ゴウゴウと流れる水の音は愛宕堰(せき)の音だった。しばし、ロケーションを愉しんだら、元の道に戻り、再びどこまでも進む。舗装が途切れてもひるむことなく進むこと。右手には見えるのは真福寺の墓地である。その脇を縫うようにお寺さんで数年前に整備してくれた幅1メートル程の道がある。
その道を通り抜け、階段を下ると、愛宕橋の袂にひょっこり出てしまう。表の道路なら12,3分はかかるであろうところ、わずか5,6分ですり抜ける超ウラ道である。
さあ、広瀬川に出た。右隣は愛宕大橋である。
愛宕大橋は国道286号線から中心市街地に抜ける幹線道路で、一日中トラックやバス、乗用車がびゅんびゅん通る。しかし、愛宕橋は車の通行量が比較的少ない。この一帯は北から愛宕大橋、愛宕橋、宮沢橋、広瀬橋と4つの橋が並んているが、広瀬川の風を感じながら、のんびりゆったり歩いて渡るには愛宕橋は最適な橋といえる。(つづく)
(文責 尾暮)

お知らせ:4月22日に開催された在仙の水彩画家・古山拓(たく)氏と、当館学芸員によるギャラリートークの記録ができました。展示室にてどうぞご覧下さい。

このページの初めに戻る

工芸品 近世の作家 近世江戸・京阪の作者たち 近世郷土の作者たち 伊達家関連資料 主な収蔵品