社会福祉法人共生福祉会 福島美術館

福島美術館通信

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平成20年8月1日

福島美術館通信 No.41
【陳列作品紹介】

■福禄寿画賛(ふくろくじゅがさん)
(双幅の内右幅・部分)

伊達 忠宗(だて ただむね)筆 江戸時代前期
紙本墨画 76.0cm×26.4cm

秋の展覧会「伊達な宝もの〜見せます!伊達の殿さまの書と絵画」では、福島美術館で所蔵している伊達家の関連資料(約100件)の中から、箱に伊達家の蔵番号が添付されている資料を中心に展示します。

仙台藩といえば、多くの人は「伊達政宗」を挙げます。(“正宗”ではないので気をつけましょう!)しかし、62万石の大藩である仙台藩は13人の藩主によって継承されたのです。藩祖・政宗の戦国の華々しい活躍の後、平安の治世を引き継いだのが2代忠宗(1599〜1658)です。

忠宗は慶長4年、伊達政宗の次男として大阪で生まれます。母は正室・徳川氏振姫です。寛永13年(1636)5月24日、父政宗が世を去り忠宗(38歳)が家督を継ぎ、2代藩主忠宗が誕生します。その治世は江戸幕府を中心に幕藩体制が確立されつつある中で奉行・評定制の確立にあたり、専制から機関主義の藩制を打ち出して「仙台藩の基礎固め、その安定の維持」に懸命であったようです。

さて、忠宗自身については、記録には「武」に秀で、鉄砲に優れ腕前は百発百中であったとされる他、刀剣への関心も高かったようです。一方、「文」の方は「公(忠宗のこと)稀ニ和歌ヲ詠セシモ伝ワラズ」と記録に残されており、父政宗と比べて歌を詠むことは苦手だったのでしょうか。

今回紙面では、仙台藩2代藩主・伊達忠宗の作品「福禄寿画賛」をご紹介します。福島美術館に所蔵されている忠宗資料7点の内、和歌や絵画は4点です。本作品は貴重な絵画作品です。画面下方に水墨で腰を少し曲げた福禄寿が長い杖を肩にのせた姿で横向きに描かれています。その杖の先には瓢箪も見えます。福禄寿はなかなか飄逸な表情で見ていて和みます。その上に「(左より)這福禄寿 寿長於頭 目出〃〃 萬歳千秋」と賛が付されています。

江戸の愛宕山下真福寺の実貫和尚の筆による箱蓋書きには、本作品は松平陸奥守忠宗公の自画自賛で享保己亥4年(1719)5月27日勝千代(後の6代藩主宗村)の1歳の誕生日に父祖伝来の品として贈ったと記されてあります。「江戸の愛宕山下」とは江戸にある仙台藩の中(ナカ)屋敷を指しており、現在の港区芝新橋5丁目にあたります。「中屋敷」は藩主が住む「上(カミ)屋敷=藩邸」が火災などに遭ったときの予備邸であり、嗣子(藩主となる子)が住む役割もあった屋敷をいいます。箱には「己」の蔵番号が貼られ、札の上には朱筆で「特」の字が見えます。

和歌や書の腕前を父政宗と比較される事が多い忠宗ですが、このような「晴れ」のお祝いの品となることは本人も想像していなかったでしょうね。(文責・尾暮)

春の展示サポーター報告

昨今、多く耳にする“連携”という言葉、福島美術館では大きなことはできません。街の小さな美術館ならではの“連携”を模索中です。

今春の展覧会「みんなのイチオシ!」はその“連携”の一つ。展示室内に設置してある“つぶやきノート”の感想を元に、これまでの展覧会で好評だった作品をセレクトし、更にその感想もそのままキャプションに加えました。また、地元大学で博物館実習を履修されている学生に参加を呼びかけ、9名がボランティア(MGU春の展示サポーターと命名)として展覧会(後期)の展示作品を選考しました。更に展覧会へより近づいて頂くために、ギャラリートークも担当していただきました。

学生サポーターさんにとって美術館来館者を前に行う展示解説は初めての経験です。緊張と責任の重荷で最初はガチガチに見えました。展示サポーターに参加してどんな感想を持ったのでしょうか。寄せられた感想から抜粋した形で少しご紹介いたします。

A.Nさん
普段の大学生活の中で、人前で何かを「説明・紹介」することや「自分の感じたことを伝える」機会はほとんどありません。今回の春の展示サポーターとして2月から続けてきたこの活動は、「美術館の仕事に関われる」という当初の目的以上に得たものは大きいと思います。
M.Aさん
「みんなのイチオシ!」ということで、それぞれが気に入った作品を選考することになりましたが、全員イチオシ作品が多く、選考に悩んだ事が印象強く残っています。
展示候補に挙がっていながら見送られてしまった多くの作品を見て、展覧会の準備作業の裏にはこんなドラマがあるのだな、と改めて気づかされました。
A.Aさん
作品の選考、キャプションの作成やギャラリートーク、約1ヶ月半という活動の中で様ざまなことを経験し得ることはたくさんありました。その中で最も苦労したのはギャラリートークでした。聞いている方々が分かりやすいように、そして自分の意見を押し付けないように、自分のイチオシ部分をどのような言葉で伝えればよいのかなど、作品の魅力や価値を伝えることの難しさを感じました。

学生サポーターさんとのこのような連携は初めてで、私自身も戸惑いはありました。しかし、この小さな企画が美術館を次代へ繋ぐ一歩であることを実感しました。

ご協力いただきました宮城学院女子大学様に篤く御礼申しあげます(文責 尾暮)

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