社会福祉法人共生福祉会 福島美術館

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福島美術館通信

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平成23年12月10日

福島美術館通信 No.47

【あの時から、そして、これからのこと】

平成23年3月11日(金)午後2時46分に発生した東日本震災によって多くの方の人生観が一変したことでしょう。あの日から10ヶ月が経とうとしています。一歩前進できた方、暗闇の出口が未だ見つからない方、応援されている方、人々の様ざまな思いが交錯した年でした。

福島美術館の「あの時から」のことをお伝えいたします。

一歩も動けない程の強い揺れ、それは長く長く続きました。気が付くと部屋中はグシャグシャです。今にもつぶれるかと思われた建物の中に、今自分が生きて立っていることが不思議でした。4階では書道教室(中高年の方6名)をやっていました。皆さん各自テーブル下に身を寄せて怪我なく無事だったようです。地震がおさまった後、職員2人は内部・外周を確認し、施錠して雪降る中徒歩により帰宅しました。建物の被害は診断が必要ですが、資料の大きな被害もなく、「あの時」は、多くの人がそうであったように、「今」を予想できませんでした。

福島美術館は昭和48年に建てられ、昭和55年の宮城県沖地震も耐えた古い鉄筋コンクリート4階建ての「ライフセンター」という建物に併設されています。毎日頻繁に起こる余震。職員はこの古い建物にいてダイジョウブなのか?不安でした。それとともに「収蔵資料をどうするか?どこに、どう避難させるか?」学芸員の頭の中を駆け巡りました。

4月5日、ようやく建物診断を受け、「躯体に問題はない。しかし、修繕が必要」という結果がでました。その診断により、「修繕が完了するまでは不特定の人の入館を断る」という「休館」の措置をとることとになります。しかし、美術館の運営母体は複数の障害者福祉施設を運営する社会福祉法人です。「修繕の優先順位から美術館の修繕はいつになるかわからない」という不安だけが募りました。

それから今日までの日々、ひたすら、収蔵資料を守り、後世へ継承することだけに専心してきました。年度内のすべての展覧会は中止となり、再開も未定のままです。学芸員として展覧会が開催できないことの悔しさはありましたが、収蔵資料の避難移動・管理は学芸員が最も優先させるべき使命に思えました。  学芸員は自分一人です。自分に何ができるか?頼るべき近隣の施設はありませんでした。途方にくれていた時、仙台のある大学の先生からメールがきました。「福島美術館は大丈夫ですか?困っていることはありませんか?」その後、先生の発案でサイトに福島美術館の状況を発信していただき、また、美術館サポーターや学生のマンパワーに助けていただくことになります。

最初にしたこと。資料を移動する優先順位をつけました。(1)伊達家関連資料、(2)優品図録掲載資料・黄檗関連資料、(3)(4)(5)(6)と。ところが、どう考えても梱包資材が足りません。困っていたところ、サイトで美術館を知った関西方面の関係者から梱包資材をご寄付いただきました。粘着テープ、防災ヘルメット、エアキャップ(あのプチプチ)、段ボール箱(大中小)、薄葉紙、クラフト紙など、梱包に必要なあらゆる品々を頂戴しました。その他サイトをご覧になった方から「役立てて下さい」とお見舞い金を頂戴しました。

4月中旬から資料移動の梱包を進めていましたが、4月19日の大雨により北側の2階・3階収蔵室及び展示室の亀裂から雨漏りが起きました。湿気はカビを発生させます。カビは資料には大敵です。早急に作業を進めなくてはなりません。梅雨・台風・秋の長雨、時は待ってはくれません。しかし一人の力では遅々として進みませんでした。そんな時、宮城学院女子大学の学生9名の梱包作業支援を頂きました。週3日、2~4名ずつでお手伝い頂き、大変助かりました

8月このような中、今年度も博物館実習生を受け入れることに踏み切りました。実習内容は大幅に変更し、梱包作業というその時の日常を経験していただきました。「実習を終えた感想(実習記録)」から抜粋してご紹介します。

「今回の実習で得られた最も大きなもの、それは歴史の預かり人としての美術館の意義と、人(来館者)とモノ(作品)の生命を預かる学芸員の責任を学べたことです。・・<作品は200年も300年も生き続ける。私たちはその中のほんの僅かな時を一緒にいるにすぎない>作品の梱包作業の中でそういったお話を聞いたとき、本当にそのとおりだと思いました。と同時に、だからこそ作品のより良い保存、そして作品の良さを伝える努力をしたいと思いました。・・来館者への対応については、美術館という施設にとって作品も大事だけれど最優先は人命という、考えてみればあたりまえのことを再認識しました。・・・」
(東北芸術工科大学 4年 菅野夕風子)

「作品が個人のコレクションで成っているということや、創設者の設立理念など、運営の上で公立とはまた違った美術館のあり方に触れることができた。・・最も印象的だったのは、長い歴史の中で作品が伝えられ、これからも残っていくという時間の流れの中、美術館で働く自分の仕事がほんの一瞬の役割にすぎないということを理解した上で、その役割を認識して自分の立ち位置をしっかり踏まえて仕事をしているということだった。震災で当初の予定とは違った実習内容となったが、かえって作品一つ一つについて説明を受けながら、直に作品に触れることができて、美術館の実際の業務を手伝わせていただき嬉しかった。・・・」
(東北芸術工科大学 4年 佐藤 容)

10月、ようやく修繕の見積もりがでました。見積もり金額は1,000万円。博物館相当施設(宮城県認可第152号)への助成金を頼みとしても、社会福祉法人が運営する美術館にとっては、到底捻出できる金額ではなく、修繕の予定は全くたっておりません。

仙台にある「街のちいさな美術館」は「福祉と文化の出会うところ」です。その小さな灯りが消えないように、どうか皆さまのあたたかいご支援を頂きますようよろしくお願いいたします。

(文責・尾暮)

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一日も早く再開できるよう努めてまいります。

                            

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