社会福祉法人共生福祉会 福島美術館

福島美術館通信

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平成25年8月20日

福島美術館通信 No.50
【陳列作品紹介】

鷹図 双幅

菊田栄羽(きくたえいう)筆
江戸時代中期 絹本著色 110.0cm×46.0cm

仙台藩伊達家は代々文化と教養を大事にしてきた大名家であったといいます。
そのことは伊達家に伝わる年中行事や、愛蔵品や使用されていた品々から伺い知ることができ、これまでも仙台藩に関する展覧会で紹介されています。

今回紹介する鷹図も仙台藩の手文庫(=コレクション)の一つとしてかつて伊達家に大切に保管されてきたものです。二羽の鷹が向き合うように描かれた作品ですが、実は同じ鷹を描いたもの。これは幼鳥から成鳥となる際に羽が生え変わる前後を仙台藩のお抱え絵師・菊田栄羽(1712~76)に描かせたという、6年越しの作品だそうです。この興味深い一対の鷹の絵にまつわる様々なストーリーをご紹介します。

(1)この作品には付属文書があります。それによれば、「この鷹は延享2年(1745)冬、登米(とめ)郡日根牛村(宮城県登米市)で捕獲された。6代藩主宗村(むねむら・1718~56/在位1743~56)は、羽毛が見事であったこの鷹を栄羽に写生させた上で幕府に献上した(右幅)。その後、換羽の時の羽毛も見事であることを聞き、寛延4年(1751)再び同じ絵師に命じ写生させ(左幅)、前の一幅とあわせて所蔵することにした」とあります。よほど藩主はこの鷹にご執心だったようです。

(2)この絵の作者・菊田栄羽は名を古行(ここう)といい、栄羽・東皐斎(とうこうさい)と号します。父は破立(はりつ)細工で著名な蒔絵師・小川破立(宗羽/そうう)。絵は木挽町狩野家(こびきちょうかのうけ)4代の古信(ひさのぶ)です。よほど筋がよかったのでしょう。1732年、21歳で仙台藩のお抱え絵師(手前絵師)の菊田栄喜の養子となり、菊田家を継ぎ、5代藩主吉村から7代藩主重村に仕えた絵師です。特に写生に優れて、藩主の肖像画のほか、江戸中期の博物学の流行に反映して、藩主の求めで多くの動植物写生帖を残しています。

(3)武家政権の世の中では鷹は「御鷹(おんたか)」と呼ばれ「武士の強さ」の象徴で、大名から将軍への鷹の献上は、国々の特産品の献上とは異なる格別の儀礼なのです。つまり、大名は自らの武威を将軍へ捧げ、服属の意志を示すことなのです。

1751年から伊達家の手文庫に加えられ、明治以降に福島家の手文庫となった鷹の図は経年により傷んでいましたが、この度2013年7月修復が完了いたしました。

(文責・尾暮)

修復資料つれづれの記

福島美術館では、震災で破損してしまった資料や、長く収蔵している間に壊れてしまって展示できないものが何件かあります。現在、皆さまから頂いた再開事業寄附金(七福絵ハガキ募金)や、文化庁の補助金により、少しずつ修復を進めています。その中から、今回修復が完了した2件をご紹介致します。

〈弘法大師像〉(木造 高さ14.4cm 江戸以降)

こちらは、震災時に展示していたもの。落ちてきたキャプションが当たり、左手首からスパッと取れてしまいました。文化庁宮城県被災ミュージアム再興事業プランの補助金で、東北古典彫刻修復研究所に修復を依頼しました。

修復作業は7月4日の午前中に、館内の学芸室で行われました。像全体のクリーニングをしてから、膠(にかわ)による剥落(はくらく)止め・手の接着に取り掛かります。クリーニングを始めると、長い間に溜(た)まっていたホコリがどんどん取れて衣紋(えもん)や表情がはっきり。左手の接着作業が終わった頃には、大師様もホッとしたお顔に見えました。現在、2階常設展示室に展示中です。


真空管ラヂオ3台

3台とも、昭和10年代に製造された貴重なラヂオ。福島家で実際に使用されていたもので、美術館に収蔵された時に既に鳴らなかったもの。こちらは、皆さまから頂いた寄附金で、仙台在住で真空管ラヂオの収集・修理をなさっている笹川皓(あきら)氏に依頼しました。

3台とも改造されており、修理には2週間かかりました。それでも、3台のうち2台のラヂオ(タイガー電機製と写真の三田無線研究所製)は、コードや真空管を取り替えたら、実際に使用できるものだったのです!残念ながら1台(海外のメーカーEmerson製)は、回路や配線が複雑とのことだったので、観賞用としてクリーニングをして頂きました。

修理後、初めてスピーカーからクリアで深みのある音が流れた時には、その部屋だけ昭和にタイムスリップしたように思えました。現在2階常設展示室に展示されていますが、イベントやお茶の時間に皆さまに試聴して頂こうと考えています。〈文責:小林〉


ご報告

皆さまから頂いた七福絵ハガキ募金により表の鷹図を含め掛け軸6件(7点 896,700円)、前述の補助金により掛け軸1件(2点)の修復が完了致しました。

                            

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