社会福祉法人共生福祉会 福島美術館

福島美術館のトップページ
福島美術館通信
展覧会のお知らせ
主な収蔵品
伊達な作品写真館
福島美術館の歴史
館内ガイド&交通ガイド
リンク&スペシャルサンクス
ゲストブック
Q&A
ミュージアムグッズ
広瀬川とミュージアム散策マップ
学芸員日記(ブログ)
お問い合わせ
プライバシーポリシー
サイトマップ

福島美術館通信

次回前回一覧

平成26年9月1日

福島美術館通信 No.52
【陳列作品紹介】

四季の花図

熊耳耕年筆
近代 絹本著色 56.7cm×33.9cm

この華やかな作品は2012年(平成24)10月に仙台市内の大学で開催された再開支援の特別展示「福島美術館の華(たからもの)」展のポスターに使用された。

画面いっぱいに描かれた色とりどりの草花。タイトルには「四季の花図」とある。上方から罌粟(けし)・藪柑子(やぶこうじ)・山吹(やまぶき)・露草(つゆくさ)・水仙が配され、蝶々(ちょうちょ)が舞い、角を出している蝸牛(かたつむり)がちょこんと葉にのっている。それぞれ咲く季節が異なる草花が一つの作品に収められている。

一目で人を引きつけるこの作品を描いたのは、仙台出身の日本画家・熊耳耕年(くまがみ こうねん/1869〜1938)である。耕年は1869年(明治2)に当時、仙台の経済・商業の中心であり、城下町の基点だった「芭蕉の辻」(現在の日本銀行仙台支店と七十七銀行芭蕉の辻支店付近)にあった仕立屋「大澤屋」の次男として生まれた。時代の変化の中で大澤屋は1881年ころ暖簾を下ろすことになる。耕年自身も苦労を重ね、東京に出て、月岡芳年(つきおかよしとし)・尾形月耕(おがたげっこう)に浮世絵を学ぶが、関東大震災を機に郷里に戻り、歴史画・風俗画・挿絵を描く作家として活動を続けた。耕年を一躍有名にしたのは1928年(昭和3)の東北産業博覧会の日本画の部で「芭蕉の辻図」が一等金牌を受けたことである。そして1936年(昭和12)この作品を三枚続きの版画として販売する。それが今もなお郷土の観光・商業で目にする機会が多い「芭蕉の辻図」という作品である。

福島美術館の名前の由来である福島家は耕年のパトロンの一人であり、作品7点を所蔵しているが、今回の展覧会で耕年という作家を紹介するため、郷土に遺された個人所蔵の作品を見せて頂く機会を得た。そこで歴史画・風俗画・仏画・挿絵など様々なジャンルの作品に出会うことができ、あらためて耕年の作品の幅の広さを実感した。

今回「みやぎのタイムカプセル 第1弾」として熊耳耕年を発信したい。昨今では世代交代や住宅環境の変化などで、代々伝わった個人所蔵の作品を廃棄したり、手放したりというケースが多いと聞く。「郷土のたからもの」はやっぱり郷土に残っていることが望ましいと思う。そして一人でも多くの人が関心を持ってくれればと願う。

四季折々の草花を一つの作品に描く場合、「四季花が絶えない=長春(ちょうしゅん)=永遠の栄え」という意味を込めているという。福島家の嗜好による作品だろうが、熊耳耕年という一人の郷土の作家の波乱にみちた生涯を知ると、よりいっそう感慨深く鑑賞できる。

(文責 尾暮)

本とふれあい、時代にふれる

夏の暑さも和らぎ、秋の足音が少しずつ聞こえはじめる。秋と言えば食欲の秋・運動の秋・芸術の秋、そして読書の秋。本は想像をかき立て、知識を蓄える事ができるが、本の歴史そのものについても語りかけてくる。読書として本の中身に触れるだけではなく、本そのものとのふれあいについて、少し思いをめぐらせてみたい。

福島美術館では、昨年から当館サポーターと美術館所蔵の図書の整理を行っている。蔵書は創設者である福島禎蔵氏ならび歴代学芸員や地元研究者の寄贈図書と、美術館で購入してきた本で構成。福島家では代々茶道や書道を修養していた為の関係図書や、美術品の購入資料となるような本が納められ、学芸員や研究者からは、美術史や郷土史にまつわる本が中心となって寄贈された。最も古いものでは江戸時代からあり、これらの発行年・著者・出版社・ジャンルや状態等を見極めて調書をとり、保存・管理をすることで美術館に役立たせるために行っている。江戸から戦前戦後の本は昨年度整理し終え、目録(所蔵しているものを一覧にしたもの)を作成。この目録は全国の美術館・博物館、図書館に収めており、一般の方にも活用して頂ける。

まとめて収められた本からは所有者の関心事、人柄が反映されている。また本を一つとっても様々な事象が窺え、例えば若い頃に購入した本や、ご両親や祖父母の本棚を覗いてみると、奥付に「昭和◯年」や、「◯圓◯◯銭」というタイムスリップしてしまうような記載があるかも。今の紙面はなぞると文字がツルツルとしているが、昔は「活版印刷」という印刷方法のために文字が凹凸していた。もちろん今とは違う文体、旧漢字を用いた文章は、改めて読むと新鮮に映るかもしれない。本そのものを見た場合、形式一つとっても当時の世情や物価の違い、文化の変遷を垣間見ることができるのである。身近に古い本がない、という人も大丈夫。11月14・15日に「ふるーい本<活版印刷>にふれてみよう!」という本にふれるイベントを開催する。この機会に、いつもと違った本とのふれあいを楽しんでみては。

(文責 相澤)

2014年11月14日(金)・15日(土) 両日10:00〜16:00
「ふるーい本<活版印刷>にふれてみよう!」
福島美術館1F情報コーナーにて 入場自由・無料

〈ご報告〉
七福絵ハガキ募金は2014年8月1日現在、累計725件、9,273,421円となりました。
平成25年度では掛け軸6件7点、工芸品4点の修復が完了いたしました。頂いた募金は、美術館の資料修復・環境整備・広報費などに有効活用させて頂きます。今後とも仙台・街のちいさな美術館へのご支援をよろしくお願いいたします。

このページの初めに戻る

工芸品 近世の作家 近世江戸・京阪の作者たち 近世郷土の作者たち 伊達家関連資料 主な収蔵品