社会福祉法人共生福祉会 福島美術館

福島美術館通信

次回前回一覧

平成26年12月13日

福島美術館通信 No.53
【陳列作品紹介】

一字「一」 雲居希膺(うんごきよう)

紙本墨書 24.3cm×35.6cm

仙台・街のちいさな美術館が開館したのは昭和55年(1980)。平成27年(2015)に35年目を迎える。運営母体は共生福祉会という障がい者福祉施設を運営する社会福祉法人である。社会福祉法人が運営するのは全国的にもとても珍しい。

当会の設立者である福島禎蔵(ていぞう/1890~1979)は仙台の素封家・福島家に生まれた。禎蔵は先代・與惣五郎(よそごろう/1864~1938)と先々代・運蔵(うんぞう/1820~1896)から引き継いだ福島家の美術コレクションを散逸させてはならない、美術や文化のバリアフリーに役立てたいという信念をもっていた。更に「人は衣食住だけでは十分でない。人の心は美術や文化に親しむことで育まれる」、美術や文化は人として成長するための大切なものと捉えていた。

その考えに賛同し、福島美術館開設に尽力したのが当時、東北学院大学教授・佐藤 明氏(1905~1986)、「めでた掛け」の命名者である。明氏は美学者・阿部次郎の最後の弟子として、仙台・宮城の文化と美術を牽引したが、それはある一部の人だけではなく、様々な人々と共に「生活の中に美術を取り込んで楽しむ」というものだった。「めでた掛け」は「お正月には、おめでたい掛け物をみんなで観て、新年をお祝いしましょう」という趣旨である。

毎年、多くの皆さまが楽しみにされる新春吉例の展覧会となったことは、誠に嬉しい限りである。命名者である明氏に敬意を表し、昭和57年の共生福祉会機関誌の新年号の文をそのまま紹介したい。

仙台の名僧雲居禅師は土佐の生まれ、その諱(いみな)は希膺。妙心寺で修行中、伊達政宗公に認められ、松島瑞巌寺の中興に招かれたが、その来住は公の死後であった。禅師は嗣君(しくん)忠宗公にねんごろに迎えられ、父公の法要を営んだ。禅師は松島の雄島に庵を結び、座禅修養につとめ、瑞巌寺完成の後は隠退し、陽徳院の開基となり、隠居寺として仙台城の西方綱木山に大梅寺を建て、万治2年ここで78才の生涯を了(お)えた。禅師は後に中御門(なかみかど)天皇から大悲円満国師の追諡(ついし)を受けた程、仁徳、学識に富み、その書も独得の自由自在に達し、この「一」ただ一字の行書も意味深く、年頭には一より始まると解して、特に適切である。
(解説 東北学院大学教授・共生福祉会理事 佐藤明)

明氏は福島美術館の初代学芸員として、亡くなるまで現役として展覧会企画に関わり、また後進の指導にも心をくだかれた。35年の歴史も「一」から始まる。福島美術館の長い歴史を改めて紐解く1年としたい。

(文責 尾暮)

「ふるーい本<活版印刷>にふれてみよう!」開催報告

11月14日(金)・15日(土)の両日、1階情報コーナーにて、東北文化の日関連イベント「ふるーい本<活版印刷>にふれてみよう!」を開催。大正~昭和20年代までの仙台の郷土史・文化史にまつわる活版印刷本22冊、中には同期間開催中の「熊耳耕年とその時代」に関連して、熊耳耕年が挿絵を手掛けた本も展示した。活版印刷には欠かせない「活字」も並べ、直接手にとり、触れていただく機会となった。

活版印刷によって作られた本は、「活字」によって生まれるボコボコとした凹凸感が紙に反映され、その風合いを感じながらページをめくっていく。今では見る機会の少ない布張りの装丁も併せ、文面だけではなく、手や指先からも‘ふるーい本’を体感して頂くことができたのではないだろうか。


また、大正2年発行の「日本名婦双六」も展示。こちらの双六は現代のものとは違ってマスが分散する「飛び双六」といい、マス内にはサイコロの目に応じた移動先が書かれる。出た目に応じてマスを飛ぶように移動していくため、どのタイミングで「上がり」に辿りつけるのか分らないハラハラドキドキとした昔遊びも楽しんで頂けた。


中学生の職場体験を受け入れました

11月11日(火)~14日(金)の4日間、仙台市立富沢中学校の生徒2名の職場体験を受け入れた。美術館の顔として接客を行う受付業務、環境整備・保持の為の清掃、作品と向き合うキャプション作成、情報発信を担う広報作業、そして展覧会のイベント補助を体験してもらった。その中で生徒たちの素直なありのままの感性で書いてもらった感想は、本人の了解を得て、キャプションとして常設展「福島家の玉手箱」と、企画展「熊耳耕年とその時代」にて掲示し、お客さまにご覧頂いている。

七福絵はがき募金のご報告

福島美術館では再開以降、皆さまから頂いた「七福絵はがき募金」を資料修復・環境保全などの運営費用に当てております。平成26年11月末の残高は1,241,174円です。平成27年に予定する資料修復に活用させていただきます。報告は福島美術館ホームページをご覧ください。今後とも「街のちいさな美術館」へのご支援よろしくお願いいたします。九拝

◎次回予告
平成27年 春季展
「鳥づくし―鳥からたどる絵画の見方―」
平成27年4月8日(水)~5月31日(日) 

このページの初めに戻る

工芸品 近世の作家 近世江戸・京阪の作者たち 近世郷土の作者たち 伊達家関連資料