社会福祉法人共生福祉会 福島美術館

福島美術館通信

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平成28年11月30日

福島美術館通信 No.57
【陳列作品紹介】

「不老長春」熊耳耕年くまがみこうねん

昭和5(1930)年 絹本著色 131.1cm×42.0cm

「めでた掛け」という言葉をご存じですか?じつはこの言葉、福島美術館で作られた造語なのです。「おめでたい掛物を皆で見て、新春をお祝いしましょう」という意味で、新春吉例「めでた掛け」展の由来となりました。

平成29年のめでた掛け展のテーマは「祝いのISYOU」。「鶴亀」や「松竹梅」など喜びやお祝いを象徴する文様は調度品や晴れ着によく使われます。そうしたおめでたい図案を絵画に描かれた衣装や意匠から見ていくと、実にさまざまな文様や画題を見ることができます。

今回ご紹介する作品もその一つ。仙台市出身の画家・熊耳耕年くまがみこうねんによる「不老長春」です。この作品は、福島與惣五郎よそごろう(福島美術館の創設者・福島禎蔵ていぞうの父/1864~1938)から耕年に直接依頼されたものです。描かれたのは昭和5年、天長の佳節けいせつ(昭和天皇誕生日)の祝宴に出席した仙台市出身の衆議院議員・藤澤幾之輔ふじさわいくのすけが、そこで出された引き出物を與惣五郎に分与したといいます。その光栄を永遠に記念するため、耕年へ揮毫きごうを依頼したと、作品が納められた箱蓋裏に記されました。天長の佳節という慶事を祝し、日ごろ親交のあった藤澤への敬意も含め、記念としたのでしょうか。

そうした祝いを記念した作品には、多くのおめでたい図案が描かれています。まず「不老長春」という画題は、常緑の松と薔薇の組み合わせを示します。常に青々とした緑の葉をつける松は、不老や長寿を象徴します。薔薇は、四季を問わず花開く「長春花ちょうしゅんか月季花げっきか」(和名/庚申薔薇こうしんばら)と呼ばれる種類で、東洋画によく描かれます。季節を問わず長い春を思わせるこの花は、永遠とわさかえを示しました。そのそばのつがいの鶴は、吉兆を知らせる瑞鳥であり、一度番になると生涯離れないことから、夫婦や永遠の絆のシンボルとされました。こうした喜びや幸せを願う文様を象徴的に描いた絵を「吉祥画きっしょうが」とし、慶事には特に好まれてきました。

熊耳耕年(1869~1938)は、東京で浮世絵師の月岡芳年つきおかよしとしとし尾形月耕おがたげっこうに絵を学ぶも、関東大震災以降に帰郷します。昭和3(1928)年の東北産業博覧会では、当時の仙台の経済産業の中心地・芭蕉の辻を描いた「芭蕉の辻図」が日本画の部で一等金賞を受賞します。その時に與惣五郎が出品部長をつとめていた縁から、福島家と耕年の関係があったと考えられます。

こうした「めでた掛け」には、吉事にあやかり、幸せへの願いが込められています。本作品をご覧になった皆さまのもとへも、幸せが訪れますように。

(文責 相澤)

水彩画家・古山 拓「ミュージアム講話」開催報告

10月15日(土)に水彩画家・古山拓氏(仙台在住)を講師にミュージアム講話「旅の画家の歩き方~教室では教えない旅と作品の裏側~」を開催しました。旅と作品の関わりを伺いながら、会場には古山さんの作品や、クロッキーブックも展示され、秋季展同時開催の「子規と歩いた宮城 古山拓水彩原画展」とともに大いに盛り上がりました。講話終了後サイン会も行いました。

(文責:尾暮)

SMMA見験楽学ツアー01
「仙台裏道さんぽ-福島美術館創設者福島禎蔵の足跡を訪ねて-」
開催報告

仙台・宮城ミュージアムアライアンス(呼称・SMMA)企画の見験楽学ツアー第1回目「仙台裏道さんぽ」が10月29日(土)開催されました。当館学芸員によるガイドで、福島禎蔵に所縁のある場所を紹介する街歩きツアーです。

ルートは青葉区土樋~米ヶ袋~若林区土樋~終着点・福島美術館で、阿部次郎(哲学者、『三太郎の日記』著者)の記念館(写真左)、本多光太郎(東北大総長、金属材料研究所初代所長)の旧邸宅、紅久(八木久兵衛の別邸跡)、当館の秋の展覧会の見学という内容でした。昼食時には古地図や昔の写真をみながら、歩いたルートをみんなで振り返りました。「案内付きで、街歩きはあっという間でした」「散策ルートがよかったです」「一人でもまた、ゆっくり歩きたいです」などの感想を頂きました。事故もなく無事盛会に終わりました。

(文責:尾暮)

東北文化の日関連イベント「ふるーい本<活版印刷>にふれてみよう!」
開催報告

10月29日(土)・30日(日)開催した活版印刷をご紹介するイベントは今年で3回目となります。今回は旅をテーマにした本を19冊展示しました。「活字」によって紙面に生まれたボコボコとした凹凸感、また今では見る機会の少ない布張りの装丁など、「ふるーい本」を直接手にとり、触れていただく機会となりました。

(文責:尾暮)

福島美術館事業ご支援のお願い「七福絵はがき募金」

「七福絵はがき募金」は、収蔵資料の保存修復事業や広報活動に活用させて頂いております。引き続き、仙台・街のちいさな美術館 福島美術館の運営活動について、皆さまのご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い致します。

※2千円以上のご寄付で、税制上の優遇を受けることができます。

◎次回予告
平成29年度 春季展
「ザ・動物~博物学vs遊び(仮称)~」
平成29年4月12日(水)~5月31日(日)

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